戦い方2.0
コロナの影響は凄まじかった。
主要な試合がなくなる、3年の最後の活躍の場が失われる、練習がままならなくなる…
沢山のダメージが私たちランナーを襲い、立ち直るにも時間がかかった。
その一方で、爆発的な記録ラッシュも同時に起こった。
田中希さん(豊田織機)の日本新を始め、競歩の池田くん(東洋大)や三浦くん(順大)など新しい顔ぶれも今では当たり前となってきた。
この状況下で私たちの戦い方もアップデートされたのではないでしょうか?
感染対策を講じた上での準備の仕方や調整方法,練習場所などバイアスがかかった中で私たちの動き方も変わりました。
それに合わせて変えて行ける人とついていけない人との間に溝が生まれたのも事実です。
では、この先の戦い方をどう定めて、新しい自分をそこに当てはめていけば良いか?
今回は、この戦い方2.0について一緒に考えていきましょう。
初めに、私たちはコロナ禍を機にこれまでの戦い方を必然的に見直す必要に迫られたように感じます。
例えば、今まではカレンダー(スケジュール)通りに動けばよかったので練習期間という概念について深く考えることはありませんでした。
冬のトレーニングを3月からスピードへと移行し、4月初めの記録会を受けて総体へと向かっていく。
このある種慣例的なトレーニングサイクルが今年はできませんでした。
全て自粛として各個人に委ねられてしまった点で大きく異なったと思います。
また選手同士のコミュニケーションの場も減ったことで、チームスポーツとしての陸上競技の要素が削がれてしまったことも大きな問題だったと思います。
リレーや駅伝の連携は日々の相互的な関係性から構築されます。
その関係性が自粛の波に飲まれ、薄まってしまったことも多くの学校に見られた事実です。
この陸上選手のこれまで体験したことのない出来事が戦い方を大きく変容させたのです。
結果として、千葉県は今年のボーダーが一気に下がりました。
これは短長関係なくです。
高校生は指導者からどれだけ得られるかで左右されることが多いので、当然結果にも出てきてしまいます。
幸い、僕たちのチームは顧問がいないのであまり影響は大きくなかったですが。笑
それはさておき、では今後私たちはどう戦っていけば良いのか。
整理しながら考えていきましょう。
11月初めの現段階で、コロナウイルスが再拡大しています。
北海道ではススキノを中心に営業時間短縮が再び要請され、自粛の雰囲気が立ち込めています。
人ごとじゃなくなるかもしれない。
でも自粛期間で分かったと思いますが、自粛期間では本質が浮かび上がりました。
それは、自分1人でトレーニングができるのかという問い。
トレーニングは、自分の求めるカタチやこれまでの経緯、ケガの状況、自分の長所短所…とさまざまな要素からなる一体系です。
自分で適切なトレーニングを生み出し、デザインしていくという一種のアート的能力が求められているだけです。
陸上競技の練習はある意味で創作活動だと思っていますし、人によってその絵は違う。
レースも同じです。自分でレースをどうデザインしていくのか、私たちはライバルと戦いながらもそうした自発的な創作が求められると考えています。
結局、タイム(絵)をみて評価されるのが全てですからね。
そうやって考えてみると、ライバルとか敵って実はいないんです。
例えば、自分より速い選手と同じレースで勝たなきゃいけない。
その時に、『どう倒すか』よりも『どうレースをデザインするか』を大切にしてほしいんです。
デザインが上手くいけば記録は出ます、記録が出れば勝てるんで。
そうした点で、コロナ禍やその先の世界では芸術的な個の能力を高めつつ、そこにオリジナリティを加えていく作業が重要となるでしょう。
それは練習でもできる、学校の通学路でも考えられる、どこだってできる。
1人でケガせずに追い込める人は強いです。
そして、そこに意味があればもっと先へ行けるのです。
コロナ禍で強くなった人は意味をレースの中で見出したというだけの話なのです。
意外と単純じゃない?笑
僕は、コロナ禍で何をすればいいか分からなくなった人間ではなく、逆に明らかにできたと思っています。
だから、僕も自粛期間で一気に強くなれました。
とても楽しい期間だった、意味のある期間だった、だからこそ今それが長距離も引っ張れることに繋がっている。
僕なりの戦い方2.0を作り、上手くいったことで、これを後輩たちに還元できた。
戦い方を苦しみながらも模索して下さい。
コロナ禍を活かしてください。
来年きっと飛躍できます。
編集後記
(ドラゴンフライというスパイクがどこ見て回っても見つかりません。なのに転売ヤーはメルカリやヤフオクで4,5倍もの価格で販売してる現実もコロナの影響だと思います。これはマジで直して欲しかった。)